3年ぶり、第2,3期の保存修理工事を再開します!!
★11月28日~12月15日、壁画の保存修理工事
★12月16日現地で完成式典開催!
コロナ禍、3年間中断していた壁画保存修理工事を再開します。
工事期間は11月28日~12月15日、そして完了の翌日の12月16日の午後2時から、インド大菩提会と共に完成式典を開催します。
コロナ禍、工事の中断中には、香川県立ミュージアムやインド大使館で展覧会、フォーラムを開催し、募金の呼びかけの広報活動を展開、その目標達成に近づきました。そしてやっと工事に取り掛かれます。
今回は、当初計画の第2,3期工事、西壁と南壁部分を同時に終わらせる予定です。これが終わると、来年初めに記録写真撮影を実施、全作業を完了して、後世の人たちにゆだねることになります。工事はコロナ禍、万全を期して技術者5人態勢で臨み、また、技術指導をお願いしている木島隆康東京藝大名誉教授も途中から参加してくれます。
完成式典には、寺院の管理者であるインド大菩提大会(マハボディソサエティ)が、仏教徒だけでなく仏陀をヒンドゥー教の神とする近くのインドの人々にも参加してもらう予定です。
日本側からは香雪が壁画の大下図を寄贈し保管する大本山永平寺(曹洞宗)から、工事安全祈願祭に参加された南澤道人第80世貫首(本会の顧問)のご配慮で7人のお坊さんが参加、また香雪のご遺族や関係者も渡印します。さらに初転法輪寺近くにある日月山法輪寺(日蓮宗)や、またサルナートや、ブッダガヤに滞在する日本人僧、スリランカ、チベット僧も参加する式典になりそうです。
香雪が描き、100年は持つ、ダルマパーラが200年もすれば世界中から模写にやってくると香雪に語りかけた仏伝壁画の86年目の剥落止めと補彩色。その延命に貢献できたことを誇りたいと思います。
日本人の芸術家家が日本画で描き、世界中から訪れる仏教徒や見学者、そして地元インド人も感動する大きな仏伝壁画は、今では世界の文化遺産になりました。インド政府は近い将来に初転法輪寺を含めてサールナートの一体、さらにはインドの宗教聖地バナラシを含めた広域を世界遺産にと活動しており、近い将来実現するはずで、香雪の壁画はその構成要素の一つになります。
私たちは、今後とも香雪の描き残し世界に誇れるこの壁画を関係者と共に大切に守り、日印、国際文化交流に貢献するだけでなく、仏教精神を通しての世界平和を願った香雪の想いをも継承していきたいと思います。今後の壁画経年劣化は必至で、今回の工事はその息の長い保全活動の始まりでしかありません。
本尊側から南の入口方向を見た壁画の全体像(第1期工事では左側・東壁の涅槃図部分を完了。今回は正面・南壁の降誕図等と、右側・西壁部分の降魔成道図等の剥落止め・補彩色を実施し工事を完了させる予定)
足掛け5年、実質4年がかりの壁画制作で、香雪がもしわが身に何かあってもこれだけは残ると最初に描いた『降魔成道』の図。施主ダルマパーラと議論を重ねてアジャンタ様式の印を結んだ仏陀の像とし、また南北伝仏教の教義を融合させた新しい仏伝画となった。完成した画面を見て施主は感動。魔女の美しさやアジャンタ壁画より大きいと喜び、200年もすれば世界中から模写にやってくると称えた。施主はその後間もなく亡くなり、香雪は助手を務める河合志宏とともに資金不足、厳しいインドの自然と対峙し生命を賭して大業を成し遂げた。
夏の初転法輪寺(ムラガンダークティ・ビハーラ) 右が入口側(南西より見る)
正面から見た霧にかすむ初冬の初転法輪寺